今後、さらに厳しくなると予想される医療関連の広告規制。
厚生労働省のホームページにて 『医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書』が掲載されました。
(2021年7月作成)
資料に目を通した印象は以下のツイートより。
前回の記事に引き続き、整骨院、あはき院の広告でNGとなりそうな事例とあわせてみていきたいと思います。
✔前回の記事を読んでいない方はコチラから⇓⇓
柔道整復師&鍼灸師(開業経験あり:すでに廃業)
はじめて勤務した職場では、パワハラ、アルハラ&上司の女性スタッフに対するセクハラ行為にあきれてしまい挫折。
現在はホームページの制作やブログ、ライター活動をしています。
【柔整&あはき師】ホームページの広告規制の今後:メディアに出演!はOK
広告可能事項の記載が不適切な事例
ビフォーアフター写真 :具体的ならOK
資料によれば、「写真だけの掲載」あるいは「写真+簡単な説明」はNGとのことでした。
✔ビフォーアフター写真の例
写真だけの掲載はNG!
もし小顔矯正のビフォーアフターを掲載するなら写真だけでなく
- どのような手技を
- どのくらいの力加減
- 効果が出る理由
- 施術時間
- 費用
- リスクや注意点
を詳細に記載する必要があります。
ホントに顔を「矯正」したら事故案件ですけどね。
治療の方法:費用&健康保険利用不可の記載
自由診療の治療方法を記載する場合、費用や健康保険できないことを記載する必要があります。
整骨院やあはき院の自費施術なら、費用の記載とともに『健康保険の対象外』であることを明記しておきましょう。
産後のママさん必見!
産後骨盤矯正術!
体の不調の原因はすべて骨盤です。
骨盤を矯正して~
この記載では、費用が不明、健康保険の適応かどうかがわかりません。
産後のママさん必見!
産後骨盤矯正術!
1回:3,000円
※健康保険は利用できません。
骨盤の角度により腰痛や肩こりの症状がでることも。
不調を取り除くためにも、骨盤の角度を調整して~
施術費用が1回3,000円、健康保険が利用できない、といった記載があるので問題ないでしょう。
医療従事者の専門性資格 :カイロプラクターはNG?
- 厚生労働大臣が認可していない資格
- 資格名が正確に記載されていない
- 団体名が記載されていない
以上の条件を満たしていない場合は、専門性資格の記載はNGとなります。
現段階では医師、歯科医師に対してのものですが、柔整師、あはき師にまで適応が広まれば、
- 民間資格のカイロプラクター
- ○○整体講師
- アロマテラピー〇級
などの記載もNGの可能性があります。
※いずれも厚生労働省に認可されていない民間資格のため
有名スポーツ選手、著名人の専属トレーナーの記載もNGかも?
限定解除要件の記載が不適切な事例
限定解除要件について:メディアに出演はOK
- 専門外来
- 診療科目
- メディアの掲載経歴
などをホームページに掲載する場合は、利用する側が内容を確認できるように連絡先(電話番号、メールアドレス)の記載が必要となります。
※くわしい内容は医療広告ガイドラインのP31広告可能事項の限定解除要件の①②に書かれています。
そのため、整骨院、あはき院で例えるなら以下のようになります。
メディアの出演経歴などをホームページに掲載したければ、連絡先を記載しておきましょう。
これからも「当院が雑誌で取り上げられました!」はなくならないでしょう。
自由診療に関する限定解除要件について: 費用やリスクも記載しよう
自由診療における限定解除
カンタンに説明すると、一般的に行われている自由診療(※)を掲載する場合は、以下の項目を記載する必要があります。
- 治療内容(手順など)
- 正確な費用
- 治療回数、期間(ともに記載が必要)
- リスクや副作用
※歯科のインプラントなど
✔整骨院、あはき院でよくみかける骨盤矯正の場合
【施術内容】
骨盤を矯正してからだの不調を改善します(いい加減な情報のみ)
【費用】
1回:3,000円~(最低料金の記載のみはNG)
【施術回数、期間】
- 状態により異なります(ハッキリとした内容を記載する必要あり)
- 3回~(最低回数のみはNG)
- 1ヶ月(回数とあわせて記載する)
【施術の効果(副作用)】
効果には個人差があります。
骨盤矯正とは?
骨盤の角度により腰痛や肩こりの症状がでることがあります。
不調を取り除くためにも、骨盤の角度を調整して~
- 問診
現在の症状、期間、全身症状のチェック、既往歴などを確認させていただきます。
- 徒手検査
症状により考えられる原因を調べるための検査を行います。
- 可動域のチェック
体幹、股関節、膝関節の可動域を確認します。
※痛みが強く体を動かせない場合は、実施いたしません。 - 施術
股関節や腰回りを調整し、骨盤の角度を正常な位置へ戻していきます。
- ビフォーアフター
施術前、施術後で身体の状態を確認していただきます。
【費用】
1回につき:3,000円~5,000円
【施術回数、期間の目安】
- 3回~6回
- 1ヶ月~2ヶ月
【骨盤矯正のリスクや注意点】
- 効果には個人差があります
- 自費施術のため健康保険は利用できません
- 改善されても、効果が持続するとはかぎりません
厚生労働省の資料に沿って作るなら、最低でもこのくらいの記載が必要でしょう。
ただ、骨盤矯正そのものにエビデンスが少ないため、記載そのものがNGかもしれませんが…
未承認薬、医薬品についての広告
- 未承認医薬品等を用いた自由診療における限定解除
- 医薬品等を承認された効能・効果と異なる目的で用いた自由診療における限定解除
この項目については、薬をあつかえない柔道整復師やあはき師にとってあまり関係のない内容となっています。
カンタンに内容だけ伝えておくと、以下の記載が必要となります。
- 未承認薬であること
- 異なる目的での使用であること
- 入手経路(○○社で製造されたものを当院が個人輸入している、など)
- 諸外国での安全性、リスクや副作用
広告するにあたって注意が必要な事例
様々な治療の方法が含まれ、そのいずれの治療を提供するのかという点が明確ではない診療科名:各施術ごとに掲載
各診療科目ごとに、治療内容を分けて記載する必要があります。
整骨院、あはき院であれば柔道整復施術、鍼施術、灸施術、あんまマッサージ施術を分けて記載する必要がありそうですね。
自由診療における限定解除でお伝えしたように、各施術内容には健康保険の適応の可否、適応外なら費用、治療期間、回数の記載も必要となるでしょう。
提供される医療とは直接関係ない事項による誘引:初回割引キャンペーンもNG?
この項目については飼料がわかりやすいので引用します。
おもちゃやグッズなどで患者に来院を促すような情報を、ホームページに掲載するのはNGとなります。
スーパーのチラシで例えるなら「ご来店いただいた方に玉子1パックプレゼント!」みたいなものですね。
資料では商品の提供でしたが、広義にとらえるなら「初回割引キャンペーン」「友たち追加で1回割引」なども対象になるかもしれません。
今後は掲載NGになる…?
個人的には、完全な自費施術であればいいような気もしますが…
治療にかかわる施術であれば「医療」のあつかいとなるので、
リラクゼーションです!
と言い切ってしまう必要がありそうです。
ここまでのまとめ
資料の項目 | NGの例 |
ビフォーアフターの写真 | 写真のみの掲載で具体的な施術内容の情報がない |
治療の方法 | 自費施術において、費用や健康保険の対象外であるといった記載がない |
医療従事者の専門性資格 | 厚生労働大臣が認可していない資格を記載している |
限定解除要件について | 連絡先を記載していない(見る側が内容について問い合せができない) |
自由診療に関する限定解除要件について | 治療内容や費用、リスクなどが記載されていない |
様々な治療の方法が含まれ、そのいずれの治療を提供するのかという点が明確ではない診療科名 | 施術(治療)内容についてまとめて記載されてている |
提供される医療とは直接関係ない事項による誘引 | 記念品などのグッズ提供を行っている情報を記載している |
ここからは前回にも書いた疑問点と注意点をまとめておきました。
そのため、すでに読んでいただいた方はスルーしてもらって結構です。
前回の記事を読んでいない方はコチラ⇓⇓
≫【柔整&あはき師】ホームページの広告規制の今後は?【口コミはNGです】
現時点の疑問点3つ
疑問その1|不妊専門鍼灸は厳しいかも?:お互いにデメリット
不妊鍼灸をメインにしている院のホームページでは
- 妊娠率92%の実績
- 口コミが掲載できない
- 通いはじめて3ヶ月で妊娠しました
といった内容が今後は掲載できなくなるでしょう。
不妊治療にかかわる内容をどのように変更していくべきか?
考えどころです。
ナイーブな問題なだけに、詳細な情報を求める方が多いですよね。
施術を提供する側、利用する側ともに大きなデメリットとなりそうです。
疑問その2:SNSの個人アカウントによる発信は?
「有名人も利用!」といった掲載はNGですが、個人アカウントまでは取り締まるのはムズかしいでしょう。
金銭などの授受があれば話はかわりますが…
✔ポータルサイトやGoogleマイビジネスについて
某グループ院ではスタッフが患者になりすまし口コミを書き込んでいるようですが、対応はムズかしいでしょう。
疑問その3:利用者の客観的な情報はOK?
- 年齢
- 性別
- キッカケ
上記の内容であれば、施術の効果について一切ふれていない内容であればOKではないかと。
どのような方が通院されているかで、利用を決める方もいます。
(人間は共通点がある人や物事を好む)
ここまで規制されると、ホームページとしての役割がなくなりかねません。
こんな営業に注意!
今後は、
- ホームページに口コミ記載→NG
- ポータルサイトの口コミを転載(引用)→NG
いいかえると、ポータルサイトやGoogleマイビジネスにある口コミはOKと解釈できます。
そのため
ホームページに口コミの掲載はNGですよ!
もうオワコンです!
と伝えて、ポータルサイト、Googleマイビジネスのコンサル的な営業が増えるかもしれませんね。
まとめ
今後は、
- 健候保険施術、自費施術など関係なく規制の対象
- 改善を求められるページはかなり多い
- 利用する側が知りたい情報を伝えにくくなる
となりそうです。
ガイドラインに従い健全な運営を心がけましょう。
いっぽうで、便乗していい加減なホームページ制作やWEBコンサルの営業が増える可能性もあるのでご注意ください。
前回の記事⇓⇓
≫【柔整&あはき師】ホームページの広告規制の今後は?【口コミはNGです】
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≫【柔整&鍼灸】もう頭が悪いといわせない?マーケティング関連書籍5冊
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