柔道整復師、鍼灸師として独立、開業するなら受療委任(健康保険)の取扱いはできたほうがいいよね?
とはいえ、最近は施術管理者の研修があるみたいだし正直めんどうだな・・・
このような悩みをかかえていませんか?
✓読者の想定
独立、開業を考えているけど、受療委任による健康保険を取り扱うかで迷っている人
本気で開業を考えている方なら、けっこうアタマを悩ませるポイントではないでしょうか?
実際に受療委任の取扱をやってみた立場としては、正直なところオススメはできません。
今回の記事では以下の3点を中心にお伝えしたいと思います。
患者さんのために受療委任の取り扱いは必要だ!
その気持ちはよくわかります。
ボク自身、そのように思っていましたからね 笑
たしかに受療委任制度は患者側にとってはありがたい制度ですが、施術者側にとってはかならずしも良い制度とはいえません。
場合によってはWIN=LOOSEどころかLOOSE=LOOSEの関係になるだけでしょう。
もし売上のメインを「保険で・・・」と考えている方には、いちど立ち止まってみることをオススメします。
✓記事を書いた人
柔道整復師&鍼灸師の免許を所持
2019年に鍼灸整骨院を開業
運よく?コロナの影響が出る前に廃業を選択
受療委任取扱をやめるべき理由
受療委任による保険を取りあつかうことで、ムダな仕事がかなり増えます。
個人的な意見としては、作業量、仕事内容にたいしての見返りはないと感じました。
(時給換算でいえば600円くらい?)
患者さんのためと思って、ムダな自己犠牲はやめましょう。
施術管理者研修は時間とお金のムダ
柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いを管理する「施術管理者」になるための要件について、これまでは柔道整復師の資格のみとされていましたが、平成30年4月から新たに資格取得後の「実務経験」と「2日間の施術管理者研修の受講」が義務付けられました。
引用:全国柔整鍼灸協同組合HP
みなさんご存知かと思いますが、平成30年度より、2日間(土日)の研修を受けなければ、受療委任による健康保険の取扱ができなくなりました。
基本的には開業前に受けることになります。
費用は「20,000円」となっていますが、はっきりってそんな価値なかったです。
テキストは以下の画像より。
まったく現場を経験したことがない人にとっては、必要な研修といえるでしょう。
しかし、こういう研修は結局のところ「ルールに縛りつけるため」のもの。
自分が勉強したいセミナーに出た方が、確実に価値があります。
ボクも開業前に受けましたが、こまかい内容なんてほとんど記憶に残っていません。
お金をドブに捨てたと思っています 笑
✔廃業時の注意点
いちど廃業して別の場所で整骨院を開業、受療委任を取りあつかうには、もう一度研修を受ける必要があります。
もし再開する予定があるなら、廃業ではなく休業といったカタチにしておきましょう。
開業直後の集団指導
受療委任を取り扱っていると、開業後に2~3か月後に各地域で行われる「集団指導」を受けなくてはいけません。
(例:大阪なら近畿厚生局が主催)
以下のような封筒が施術所などに届きます。
この研修のやっかいなところは、平日に行われることなんですよね…
開業して右も左もわからない、いそがしい時にわざわざ貴重な時間を削って、場合によっては店舗を閉めてまで行く必要があります。
内容は厚生労働省のお偉いさんが、上から目線で喋るのを聞いているだけ。
内容も施術管理者研修で話していた内容のうち、保険請求の部分をピックアップしただけのものでした。
こんな研修に税金が使われていると思ったら、国会中に寝ている国会議員のボーナス並みにムダです。
紙で保険請求、カルテは手書き
紙で保険請求
レセプト用紙については月末、月初にまとめて印刷することになります。
「FAXや印鑑をなくしていこう」という時代に、いまだに紙媒体を使用している時点で未来はない業界ともいえますよね。
ある程度はPC作業で可能ですが、印刷後に不備が見つかれば訂正印の嵐・・・
いったいナニをしているのか?自分を見失いそうになりますよ 笑
カルテは手書き
以下は、実際に使用していた紙のカルテです。
この様式だと、初回時の様子くらいしか書けないんですよね。
全体的に書くスペースは小さすぎるし、1,2か月ごとに新しい用紙を使うことになりコストもかかります。
くわえて訂正も2重線。
保険請求をしなければ、ムリにこの様式に従う必要もありません。
ipadなどを使用して電子保存したほうが確実に効率がいいですよ。
受療委任による金銭的なデメリット3つ
- 金額を自由に設定できない
- 保険だと売上に限界がある
- 薄利『少』売になる
順番にみていきましょう。
金額を自由に設定できない
金額を自由に設定できないということは、どれだけガンバっても患者単価は変わらないんですよね。
1時間対応したからといて追加料金をとることもできません。
保険制度によって金額を決められている以上「国の奴隷」ともいえますね。
客単価を上げることができなければ、売上の上限も決まってしまいます。
仕事を自動化できない
経営者兼施術者では、業務の自動化もムリですよね?
多くの企業は「仕組みを作り外注化する」ことで売り上げを伸ばしています。
コンビニのフランチャイズ化はいい例ですよね。
- 本社で培ったノウハウを素人経営者に提供
- 加入金や毎月の手数料をいただく
結果、リスクをおさえてお金だけが入ってくるビジネスモデルができあがります。
患者単価を大きく上げることのできない&自動化ができない仕事では、売上を大きく伸ばすことはムズかしいでしょう。
薄利『少』売になる
鍼灸整骨院に毎日何十人も来るかといわれたら・・・
立地や地域にもよるかもしれませんが、キビシイのが現実です。
患者さんが来なければ、薄利『少』売となりますね。
1回500円の施術に慣れている人が、いきなり5,000円、10,000円の施術を受けてくれるかといえばかなりムズかしいといえるでしょう。
『価値』のないサービスでは事業は続けられない
受療委任制度は患者さんのために必要では?
たしかに必要です。
というか「受療委任制度」そのものは、患者さんのための制度ですからね。
しかし
安い=価値がない
ことも現実です。
『価値』のないサービスでは事業は続けられないんですよね。
順番としては以下のとおり。
- 安いサービスを提供する
- 売上があがらない(増えない)
- 資金がなくなる
- 事業が続けられない
シンプルですがこれが現実です。
価値のない(と思われている)サービスで事業を続けるのはかなりハードルが高いですよ?
結果として、WIN=LOOSEどころか利用していた整骨院がなくなり『LOOSE=LOOSE』の関係になってしまいますね。
価値提供をしてお金をありがたくいただきましょう。
日本企業から学べること
デフレの象徴だったマクドナルド、低価格が売りのユニクロでさえ、以前に比べて価格は上がっていますよね?(それでも安いですが)
安い価格のものを提供し続けてシェアNO.1となってから、すこしづつ値上げをしているんですよね。
新規参入の立場で、シェアNO.1の店舗とおなじ価格で立ち向かうのはかなりムリがあるでしょう。
新規参入の立場として選択肢は2つ
- 極端に安い価格(あるいは無料)で提供
- はじめから高い価格で提供
本来であれば、どちらかを選ぶことになります。
しかし、受療委任制度がジャマになり価格を好きなように決めることができません。
だったらはじめから受療委任を取り扱わずに、高い価格設定でのぞんだ方がいいのではないでしょうか?
不正請求はダメです
患者が来ない・・・
しかたないから、いつもの手を使うかー
といったように、まるで息をするかのように不正請求をする人はいます。
(学生時代の勤務先がそうでした 笑)
ムリに経営を続けるために不正請求するくらいになら、いさぎよくやめた方が身のためです。
いちど手を出したら引き返せないですよ?
まとめ:受療委任の取りあつかいはムリにしなくてもOK
- 受療委任を取り扱うと、ムダな仕事が増える
- 受療委任による金銭的なデメリット
- 『価値』のない安いサービスでは事業は続けられない
以上のことから、受療委任制度を取りあつかわなくてもいいのではないでしょうか?
受療委任制度は患者側にとってはありがたい制度ですが、施術者側にとってはかならずしも良い制度とはいえません。
患者一人当たりの単価が低く、自動化もできない仕事では事業を継続するのに限界があります。
受療委任を取りあつかって時間をムダにするくらいなら「マーケティング」の勉強をしたり、自費施術をどのように提供するアイデアを考えるのに時間を使った方がよっぽど有益ですよ。
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